あなたの知らないメガリスの世界VOL2 - Childhood's End

あなたの知らないメガリスの世界VOL2

バールベック神殿群はレバノンの東部、ベイルートの北東約85km、ベッカー高原の中央にある古代遺跡です。ユネスコの世界遺産にも登録されています。

 

ローマ時代にはヘリオポリスまたは太陽の都市として知られていました。考古学者によればバールベックの構造は古代カナンの神バアル神殿であったことを示唆しています。フェニキアの神ハダド(バアル)が祀られていた事に由来するといわれ、本来はフェニキア系の神々の聖地だったと考えられています。バアルとはカナン地域を中心に各所で崇められた嵐と慈雨の神です。異教の神バアルは旧約聖書の著者達からたびたび非難されています。悪魔バアル、蠅の王ベルゼバブ(バアル・ゼブル)などの由来となるなどキリスト教によって貶められた異教の神として有名です。

しかし後にローマ帝国支配下で彼らの神々と習合し、祭神はジュピター・ビーナス・バッカスと呼ばれるようになりました。 帝国による信仰の乗っ取りとも言えます。遺跡はこれら三神をそれぞれ祀る三つの神殿から構成されており世界でも有数のローマ神殿跡としても知られています。

一世紀から二世紀に建築された神殿構造バールベック神殿群にはフェニキアの聖地であったころの建築を基盤にしてローマ建築が覆いかぶさって建築されているとされます。フェニキアのバアル信仰の痕跡を物理的に破壊したかったのかも知れません。神殿構造は美しく巨大ですが、周辺に残る巨石オブジェクトこそが今回紹介するメガリスの本命です。

 

NO.2 桁違いのスケールのオーパーツ「バールベックの巨石」

 

この巨石は、通称「トリリトン」(驚異の三石)と呼ばれる組み石で、重さは650トンから970トン。人力では15,000人の人間が必要な計算になりますが、それだけの人間の力をまとめて石に働かせるのは現実問題として不可能であるとされています。

 

三つのうちの一つジュピター神殿の南方に位置するバールベックの巨石、通称「南方の石」は建築に使われていない切石としては世界最大と言われています。その大きさは約215mに及び、高4.2m幅は4.2mあります。

人間の大きさと比較すればどれだけ巨大化はわかると想いますが問題はその重さで約2000トンです。皆さんもよくご存知イースター島のモアイ像で最大のものが約80トンです。その約25倍と言えばいかに桁違いかはわかって頂けるかと思います。現代の技術を持ってしても一般的なクレーンでは吊り上げられない程です。

バールベックの基壇部となっている切り石や、南方の石が切り出されたのは、紀元前3000年ごろのこと。レバノンの先住民だったセム族によると推定されています。

伝説によれば、セム族は神殿建立の際に「巨人を使役して巨石を運んだ」「魔術を使って巨石を宙に浮かせて運んだ」などと語られています。これらのことから反重力テクノロジーについてのオーパーツであるとされることもあります。なかなかにロマンのある話ですね。

2世紀から3世紀のローマによる改築の後は、コンスタンティヌス帝がキリスト教を国教と定めた時点から神殿の破壊が進んだとされ、バールベックの神殿も、キリスト教の教会へと役割が変わったと考えられています。

7世紀、アラブ人の手に落ちて以後、周辺地域も含めて要塞化が進みました。現在は観光と高原農業を主体とする小さな町になっています。是非一度訪ねてみたいもんです。